前回曲、マジックアワードライブの公開から4ヶ月ほど経ちました。その間、仕事が忙しかったり環境が変わったり。はたまた作詞で暗澹とした気分になったり、ハチに刺されたりと汗、色々ありました。
本エントリーでは楽曲「サヨナラのミライ」を題材に据えて、制作の過程や感想、考察などを書いていきます。どうぞお付き合いください。
楽曲データ
| タイトル | サヨナラのミライ |
| 詞・曲 | KoiKoi |
| BPM | 136 |
| 長さ | 03:23 |
| 総トラック数 | 73トラック |
| キー | E♭ |
| ジャンル | 3人のうた |
公開するか否かを迷った曲
はじめにメガトン級爆弾発言をしますが、この「サヨナラのミライ」という曲、じつは公開するか、ボツにするかを迷った曲です。「そんな曲を公開してくれるなよ」と怒られてしまいそうですが、それでも公開に至ったのには理由があります。
ひとつ目は、まがりなりにも完成にこぎつけ公開することで、曲だけでなく、自身の創作に対する姿勢や考え、「人物」を曲の後ろ側に感じていただけたら、という願い。
ふたつ目は、陽の部分だけでない、陰の面も含めたひとことで表せない想いを曝け出す。その勇気を持とう。
他にも様々な思惑あるのですが、全てを言葉にすることはできません。その一部を本エントリーに記してお届けします。曲は曲だけで完結する方が望ましいのかもしれませんが、それを発表しているのも、このエントリーを書いているのも自分というひとりの人間。切って切り離せるものでもなさそうです。
この違和感の正体はなんなのか
曲作りは毎回しんどいと感じている気もしますが、ここまで強い「迷い」というのは今まで感じていなかった。きっと何か違和感があるから迷うわけです。まずはその正体を探ってみることにしましょう。
違和感1 余白がない。
真っ先に考えられるのは、これです。色々詰め込み過ぎかなと感じます。
メロディ
曲始まりもボーカルからですし、3人で歌い分けをしている為、終始ずっと歌ってる印象。音数も多いです(※これについては後述します)
曲構成
色彩に富んでいると言えば聞こえはいいですが、曲展開が次々と変わるため、せわしないなあという印象を抱いています。
違和感2 浮き彫りになったテーマに情景を当てづらい
作詞行程の最初期には「サヨナラのミライ」というタイトルが浮き彫りになっていました。ところがこのタイトルからは、
- 色
- 風景
- 気温
- かおり
等のかなり漠然としたイメージしか想像することができなそうです。さらに実際の歌詞は、たとえばイントロで
薄れた涙色
と歌ってます。
いったいどんな色なんでしょうか。冷い青系統かもしれないし、温かみのあるセピアかもしれない。おそらく人それぞれ解釈は異なると思います。そんな中、歌詞の他部分で「抹茶のような苦い思い出」とか、「終電でお互い反対方向の電車に乗り・・・」みたいな濃い表現するのはちょっと違うんじゃないか、ということです。つまりリスナーさんの想像を崩さないように可能な限り歌詞を希釈する必要があった、その為に言葉を選ぶ必要があった。そのように振り返ります。
自分の理想とする歌詞は、なんとなく色を感じたり、気温や香りを感じられるものであると思っています。しかし本曲の歌詞は情景を薄めなければならない。その乖離が違和感を生んでいたのかもしれません。
違和感3 SynthesizerVのライブラリについて
今回は企画の段階からMaiさん以外のボイスライブラリを併用し、歌いわけをやってみる事を考えていました。それぞれのライブラリが得意とするジャンルはあれど、今回使ってみて個人的に感じたところをまとめてみます。
Ayame
サラッとして、スーッと流れる感じ。smoothで小洒落たサウンドに合うかもしれません。一方で、か弱い、細い声に聞こえる。癖がないことが逆に癖っぽく感じられ、意図的に無表情な歌唱へ近づけているようにも思えました。
宮舞モカ
力強く、通る声質。やっぱりロック系にマッチするんじゃないかなと思います。発声の終わり、音切りの瞬間に固有の癖を感じます。意識的にアイドル歌唱っぽくした感じ。それがフィットするところはあるのでしょうけど、今回の曲ではあえてカラーを薄めたくて大体のノートで「ストレート」の指示をしています。
Mai
最も使い慣れたライブラリということもあり、要所で歌ってもらっています。特に不満がないんですね。ツールとして考えた時、「不満がない」というのは最も大きなメリットなのかもしれません。僕にとっては、いわゆるファーストチョイスというライブラリになっています。
苦手な歌唱スタイルは、ある
Mai以外のライブラリについては、単に使い慣れていないことから生じる違和感であれば習得、修練で補えるかもしれません。ただ、最近自覚したのですが、「自分はこういう歌い方苦手だ」というのはあります(曲そのものではないです)その例が以下
あーかーい、りんー↓ごー↓に
くちびーるよー↓せー↓てー
だー↓まー↓あーってみてー↓いるー
↓の部分で音程が下がります。聴いてて辛い汗
似たような違和感を、今回使用したAyameと宮舞モカのライブラリには少し感じています。
やってます感
と言うんでしょうか。そういうのが垣間見えちゃうの、苦手みたいです。
一方で、椎名林檎さんとか、かなり個性的な歌い方だとも思うんですが「むむっ」とはならないんですね、不思議。楽曲とか雰囲気、その人、バンドのスタイルによるんですかね。
裏を返せば、「苦手な歌唱スタイルがわかってきた」ともいえます。次回以降に上手く使い分けができるようになりたいです。
この曲で得られたこと
じゃあ、作ってみて心がザワザワするばかりだったのか、というとそんなこともなく、やってみてわかった事もたくさんありました。
曲を公開することができた
まずは曲として成立させ、公開することができたのが何より収穫です。途中なんども
「もうやめよう」
と思いましたから。実際、メロディとベースがひととおりできた段階で聞いた時、一部分は良いんだけどなんとも言えない不満足感、コレジャナイ感はありました。
この曲をボツにして新たな曲を作り始めることもできたでしょうが、同じことの繰り返しになるくらいなら、時間制限を緩め、腰を据えて取り組むことにしました。
好きな音数は300~450
以下は主要な過去自作曲の歌詞をひらがなに変換して、文字数をカウントしたものです。
旅をせよ。汝、恋をするなら。 178
めがさめたら 205
赤い三日月 254
夜の虹をつかまえろ! 292
恋の最小単位探してます 318
うわさの7ー90ー8エクスプレス 387
いつかあえたら 413
マジックアワードライブ 488
キエナイヨル 567
サヨナラのミライ 670
「サヨナラのミライ」は頭ひとつ抜けて文字数、音数が多いですね。調べてみて感じたことですが、文字・音数の量と作詞のしんどさ具合には相関があるように思えます。印象として
150音から250音付近
割と沼らずに作詞を終えられた記憶があります。スルッと出た。音数は少ないけれど伸び伸びと制作してた感がある。満足感は薄め。淡白。
300音付近
作詞時に頭を悩ませたものの、軽傷。ちょっとした火傷くらいで済んでいる。内容に一定の納得感、満足感、充足感がある。
400音付近
作詞している最中は空白がなかなか埋まらず、焦りや憤りなどを感じて、精神的に結構キてた記憶があります。が、好きなフレーズも多く、制作後の充足感や満足感は300音付近と同じく感じられます。
500超え
いいなと感じる語・音がある一方で、あまり好みではないフレーズも多数見受けられる。制作中の束縛感、閉塞感が強く、制作後の満足感や充足感が薄れる。
最も充足感が強いのは300~450付近。総じて500音以下くらいに抑えた方が、精神衛生上よさそうです。
音数が増えると説明しないとならない
僕はボーカル曲を作る時、全体の長さを大体3:30くらいに収まるよう心掛けています。「サヨナラのミライ」も同様で、若干短いくらい。その3:30に先述の670音がギュッと詰め込まれています。
メロディの音符を間引くことも考えましたが、印象が崩れてしまうように思えましたので止すことにしました。しかし何かしらの歌詞を乗せないと曲作りそのものが終わりません。
意図的にスキャットとかドゥワップのように意味を含まない発声、ラララーとかを乗せる方法もありでしょうけど、それだけやっていても仕方がありません。むしろ、やっつけ感が募ってしまう。。。
と、解決方法を模索しましたが、今の僕には「地道に埋める」くらいしか打開策がなく、その場合多くのことを言わないとならない為、結果的に説明的になった。と考えられます。
仕事でもそうですが、説明って面倒じゃありませんか? そういうことだと思います。
さらばらい さばらばい
ところで、さらばらい、さばらばいってなんですか?と問われると困るのですが、造語です。羽田空港第2ターミナル内、蔦屋書店併設のスタバで作詞をしていた時に、ふと思いついてそのまま入れました。この言葉に込めた意味とか想いとか、そういうのは特にありません、雰囲気です。しかしこれは余談。
演奏について
ここからは短くですが、使用したベースとギターについて書いてみようと思います
ベースについて
moon JB-5を使用。5弦のアクティブです。Fujigenの4弦パッシブと比較してどちらがこの曲にマッチするかを考慮したのですが、密度の詰まった硬質な音のするmoonがしっくりきたので、チョイスしました。

本曲には、決まった一定のパターンを繰り返す、といったベースフレーズがほとんどありません。なので「キメラ的」と言いましょうか、AメロのRec。サビのRec。とった具合に演奏、録音してそれぞれを繋ぎ合わせました。
実際に演奏した印象は、というと、、、正直あんまり楽しくはなかったです汗。それでも好みのベースラインを1つ挙げるとするなら、
「季節を感じてみたいなあ 風を感じてみたいなあ」
のところでしょうか。4小節しかリピートしませんが汗。
ギターについて
CrewsManiacSound Aristotelesを使用。基本はセンターポジションでコイルタップはしていません。シングルコイルほどエッジを際立たせた感じではありませんが、耳に来ないように、プリプリしたサウンドに寄せてみました。

アンプはEgnater Rebel 20を使用。このアンプは6V6とEL84という2種類の真空管を搭載しており、それぞれを異なる出力でミックスすることができます。今回は6V6を55%、EL84を45%くらいでブレンドです。

このアンプは今回初めてレコーディングで使用しましたが、良い意味でざらっとした、粒の粗いクランチ。少々ダークなサンドペーパーみたいな印象です。
曲調が次々と変わっていくので、それぞれのメロディに対してアルペジオだったり単音カッティングだったり5度弾きだったり、という奏法の棲み分けに苦労しました。
総じて
と、ここまで書いてきましたがエントリーも取り留めない、いつ終わるのかとも判らない具合になったのでこの辺りで締めに入ります。
公開するまでに様々な感情が湧き上がった曲となりました。思い出深い、とは言い難い汗。もちろん得るものはあったのでしょうけど、できることならここまでの沼は経験したくない、望んでするもんじゃない、という印象かな。。。
今後の曲作りは
「めがさめたら」から始まった、いわゆる「流行りもの。ナウい系」の曲調を追い求めるのは一旦区切りなのかなあ、と思えています。
今後はもう少しこう、余白といいますか。リスナーさんの想像が入り込む余地のある曲なり、歌なりを作っていきたいです。それと、しんどくならないように作りたい笑
もちろん楽曲に罪はありません。全てを決めているのは、自分自身ですね。
本エントリーを読んでいただき、ありがとうございます。
皆様に心からの感謝を。